後日談
「ごめんなさいね、手伝わせてしまって…」
祐巳のタイを直しながら、祥子さまは呟いた。
「いえ…」
お姉さまと二人で帰れるから嬉しいですと告げると、
「まあ、祐巳ったら…」
微笑む祥子さま。
上機嫌の二人は校門へと手をつないで歩いていった。
「祐巳、疲れているなら眠ってもよくってよ。肩を貸してあげるわ」
「えっと…あの…お姉さま?…」
ルームミラーに映る松井さんの顔も苦笑している。
「あの…お姉さま?」
返事はもうない。
「肩を貸してくださる方が先に眠ってしまっては意味がないと思うのですけど…」
そう告げるが、車酔いの薬を飲んだ当人はもうこんこんと眠りについていた。
「……お姉さま、ひょっとして?!……」
車は小笠原家に直行している。
既に祐巳が今日お姉さまのお宅にお泊りすることは各方面に根回しがすんでいて、そう、知らないのは当の本人、祐巳だけだったりするのだった。
Fin
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