小夜曲
〜 Side Story 〜



 [ご注意]
 この作品は『プレデート・ハプニング』『例えばこんな放課後…』の続編にあたります。
 先に上記のお話をご覧になってからお読み下さい。


「そう…」
 事の次第を聞き終えた祐巳ははぁとため息をついた。
でもすぐに笑みを見せて彼女達にお礼を言う。
「ありがとう、正直に話してくれて。でも、もうこんな事はやめてね」
「あ、あの、祐巳さま?」
「なぁに?」
「祐巳さまは瞳子さんを妹になさるおつもりなのですか?」
 少女達の一人がそんな質問を投げかけてくる。
つぼみの妹問題は、一年生の間では今一番ホットな話題なのだという。
だから、機会があれば山百合会のお手伝いをしたいと思っている子は沢山いるし、今お手伝いをしている二人を羨望のまなざしで見ている子も少なくないらしい。
その子は祐巳達の後ろに控えている可南子にちょっと視線を向けながら、そう話してくれた。
「まだ、私自身整理がついてないんだ。ごめんね」
 祐巳は正直にそう答えた。
ごまかすつもりはなかったし、何より真剣なまなざしを向けてくる彼女に対して失礼だと思ったから。
「みんなは瞳子ちゃんのこと、嫌い?」
 ふと思いついて、そんな質問を投げかけてみる。
 少女達は互いに顔を見合わせていたが、やがてそのうちの一人がぽつりと答えてくれた。
「瞳子さんのこと、嫌いではありません。でも、祐巳さまの妹になるのは…」
 いやなのね…。祐巳は苦笑する。
「理由を聞いてもいいかな?」
「私達、祐巳さまが校門でお泣きになられていた日、あの場所にいたんです」
 その後を別の子が継いで。
「翌日、ミルクホールで瞳子さんが祐巳さまに暴言を吐いたときも…」
「そっか…」
 そのことは、祐巳の中ではもうきちんとけりがついていた。
けれど、周りで見ていたこの子達の中では、未だに引きずっていることなのだと思うと少し悲しくなった。
「みんなだって、友達と喧嘩したことあるでしょ?」
 だから誤解を解いておきたいと思った。
「それは、まぁ…」
 少女達は顔を見合わせながら呟く。
「一度喧嘩しちゃったら、もう友達にはもどれないのかな?」
「それは…」
「あの時、私とお姉さま、祥子さまとの間に気持ちのすれ違いがあって喧嘩しちゃったの。でも仲直りしてから、もっと祥子さまを身近に感じられるようになったんだ」
 柔らかな表情になった祐巳の話に、その場にいた誰もが聞き入る。
「絆って言うのかな。それって、ただ好きで傍にいるだけじゃなくて、時にはぶつかりあい、時には傷つけ合って、それでもお互いが傍にいたいと感じるからこそ強く、太くなっていくものじゃないかなって思うの。だから…」
 祐巳は窓の外へ目を向けた。
秋雨はまだしとしとと降り続いている。
その向こうにいる誰かに語りかけるように。
「だから、ちょっとした弾みの一言で、その絆を断ち切ってしまうようなことはしたくないんだ…」


 秋時雨   〜後編〜


「…どう?…」
「…うん、まだ少し熱があるね…」
 額にひんやりとしたものを感じ、瞳子はうっすらと目を開けた。
「あ、気がついたみたい」
 覗きこんでくるのは見覚えのない顔とよく見知った顔。
「聖…さま…?」
 よく見知った顔の方の名前を呼んでみると。
「はい、瞳子ちゃん、ごきげんよう。気分はどう?」
 いつもの元気な聖さまの声が返ってくる。
「ごきげんよう、聖さま。もう大丈夫です」
 体を起しながらそう告げて、瞳子は部屋の中を見回した。
どこかアンティークな雰囲気の漂うお部屋は、しかし瞳子の記憶にはない場所だった。
「あの、ここは?」
 すると、見知らぬ顔の方が瞳子にマグカップを渡しながら答えてくれる。
「ここは私の下宿先よ」
 瞳子が訝しげに首を傾けると、そのことに気づいたのか、その方はちょっと苦笑して。
「初めましてだったわね。加東景です」
 そう自己紹介してくれた。
「はじめまして、松平瞳子と申します」
 そう答えてから、瞳子はその方のお名前に聞き覚えがあるのを思い出した。
加東景さま、そう、確か弓子さんのお宅の離れに下宿されていらっしゃる方。
「それでは、ここは弓子さんの…」
「そう、弓子さんのお宅の離れだよ。ついでに私の憩いの場」
 そんなことを言う聖さまの後頭部を景さまがぱこんと叩いた。
痛いなーと文句を言う聖さまに、景さまはあなたの憩いの場じゃないわよと切り返す。
そんな微笑ましい様子が温かくて、瞳子は少し気分が楽になった。
だからまず最初にしておかなければならないことを実行することにした。
「申し訳ありません。ご迷惑をおかけして」
 そう言って居住まいを正すと丁寧に頭を下げる。
「気にしないで、弓子さんもそうおっしゃってくださったし」
 景さまはちょっと照れくさそうにそう答えた。
「そうそう、誰も迷惑だなんて思っていないよ。瞳子ちゃんが抱きついてきたときはどこのセクハラ魔かと思ったけどね」
「セクハラ魔は佐藤さんの方でしょ」
 すかさず景さまの突っ込みが入る。
 おかしくてくすくすと笑う瞳子の頬を、涙が一滴流れ落ちた。
 そんな瞳子を見て、聖さまが優しくささやく。
「良かったら話してみる? 吐き出してしまった方が楽になるよ」
 しばらくその瞳を見つめ返してから、瞳子はこくんとうなずいた。

「祥子もそうだったけど、瞳子ちゃんも難儀な性格してるね」
 話を聞き終えた聖さまの第一声は、そんな言葉だった。
 瞳子は苦笑するしかない。事実その通りだし、自分でもそう思っているのだから。
「でも決定的な違いがあるけどね。何だか分かる?」
 ちょっと得意げに聖さまは問い掛けてくる。
「……」
「今の祥子は祐巳ちゃんに対して飾らない。素直に自分を出してる」
 瞳子の沈黙に聖さまはうんうんとうなずきながら答えを披露した。
「祥子お姉さまはご自分が祐巳さまに好意を抱かれていることをご存知ですもの」
「へぇ〜、じゃあ瞳子ちゃんは祐巳ちゃんに嫌われてるの?」
「き、嫌われて…は…いない…と…」
「自信ないんだ」
 言いよどむ瞳子に聖さまは意地悪な言葉を投げかけてきた。
「せ、聖さまは…祐巳さまに…信頼されていらっしゃいますもの」
 誰に対しても寛容な祐巳さま。
そう、あれだけ酷いことを言われた細川可南子に対してさえ。
そんな祐巳さまに拒絶されたことがある瞳子の気持ちなんてわかるはずがない。
だって、聖さまは祐巳さまのジョーカーなんだから。
「今の瞳子ちゃんなら、祐巳ちゃんも嫌いになるかもね」
 その声は聖さまの隣から。
「景…さま…」
「だって女々しいじゃない、一度振られたくらいでぐずぐずと」
 唖然として目を向ける瞳子に、景さまは厳しい表情でそう告げる。
「ぐずぐずって…」
「だってそうでしょう。祐巳ちゃんに本音を言って拒絶されるのが怖いのでしょう? だからいつまでもぐずぐず、うじうじしてるのではなくて? そんな…」
「はいはい、ストップ、ストップ」
 興奮する景さまを聖さまが慌てて止めに入る。
「こんな切れやすい人だとは思わなかったわ、加東さん」
 後ろから景さまを羽交い絞めにした聖さまがそう呟けば。
「こんな性格じゃなきゃあなたとは付き合っていけないわ、佐藤さん」
 景さまがそう言い返し、お互いの顔を見合わせて、くくく、ふふふと笑いだす。
 そんな二人のやりとりが、頭に血が登りかけていた瞳子を冷静にさせてくれた。
「瞳子ちゃん」
「はい」
「祐巳ちゃんをみくびらないでね」
 そう、梅雨時のことで祐巳さまが瞳子のことを快く思わないと考えることは、そんなことをするはずがない今の祐巳さまを侮辱することなんだって、聖さまは言っているのだ。
 祐巳さまを傷つけてしまった事実は変わらない。
でも、祐巳さまはそれをいつまでも引きづったりなさりはしない。
罪の意識に苛まれ、瞳子は本当に大切なことに目を向けていなかったのだ。
「最低なのは私の方ですわね…」
 祐巳さまに暴言を吐いたときのことを思い出しながらそう呟くと、瞳子は顔を上げて聖さまの目を見つめ返した。
そして笑顔で答える。
「はい、もちろんですわ」
「よし、合格」
 そう言って聖さまは瞳子を後ろからぎゅっと抱きしめた。
「頑張れるように勇気をわけてあげる」
 瞳子はちょっと苦笑して。
「祐巳さまのために?」
「そう、祐巳ちゃんのために」
 くすくすと笑いあう声はやがてあはは、ふふふと大きくなり、景さまが「あなた達、いい加減にしないと叩き出すわよ」と苦笑するほど部屋の中に響きわたった。

「いろいろとありがとうございました」
 弓子さん宅の門前で瞳子は深々と頭を下げた。
 聖さまが連絡して下さったおかげで松平家の車が迎えに来てくれていた。
「またいらっしゃい、今度は姉妹で、ね」
 わざわざ門までお見送りに来て下さった弓子さんが微笑みながらそう告げる。
 姉妹…その言葉がちょっと照れくさかったけれど、心の晴れた瞳子は素直に「はい、必ず」とうなずいた。

 翌日。
秋の長雨も終わりを告げ、今日は朝から秋晴れの良いお天気。
 いつもより少し早起きした瞳子は、気合を入れるようにタイをきゅっと結んだ。
久しぶりにぐっすり眠れたので疲労も回復。熱も平熱に戻ったし、気分も晴々。
姿見の前でくるりと一回転てしてみせる。
髪のリボンも身だしなみも問題なし。
最後に聖さまからもらった勇気を確かめるようにぎゅっと両肩を抱きしめる。
うん、大丈夫。
鞄を手にとると、瞳子は軽やかに部屋を出て行った。

 マリア様のお庭はいつもと変わりない。
けれど、まだ残った雨粒が太陽の光をキラキラと反射させて、その場を彩っている。
決意を胸に、いつもより念入りにお祈りを済ませて教室へと向かう。
 今日は何もかもが輝いて見えた。
気分が晴れるだけでこんなに変わるものなんだと思う。
だから美幸さんや敦子さんとの雑談も軽やか。
「瞳子さん、何かいいことあったの?」なんて聞かれるくらい。
 だから。
「瞳子」
 突然、大声で呼ばれてびっくりしてしまった。
振り返ると、そこにはちょっと心配顔の乃梨子。
瞳子を正面に向けさせると、何かを確認するようにぽんぽんと頭や頬、肩を叩く。
「どうなさいました……のぉ」
 突然ぎゅっと抱きしめられて言葉が詰まってしまった。
「良かったぁ、無事だったんだぁ」
「乃梨子さん…」
 息が詰まりそうになるくらい力強く抱きしめられるのはちょっと辛い。
けれど、それだけ心配をかけてしまったということなのだろう。
「ごめんなさい、乃梨子さん。そして、ありがとう」
 ちょっと照れくさかったけれど、そう告げる。
 すると、乃梨子はがばっと瞳子を引き剥がし、その額に手を当てた。
「瞳子、まだ熱があるんじゃ?」
 そこで瞳子がぷちんと切れた。
乃梨子の手を振り払い、上目遣いに睨みつけて問い詰める。
「乃梨子さん、私をなんだと思ってらっしゃいますの?」
 これがいつもの瞳子。
それがわかっていたかのように乃梨子はえへへと笑って答える。
「もちろん、親友だよ」って。

 お昼休み。
瞳子が向かうのはミルクホール。
いつもは入り口の自動販売機でいちご牛乳を買って引き返すのだけれど、今日は奥のテーブルへと向かう。
そこはいつも彼女達がお昼ご飯を食べているところだったから。
瞳子に気づいて振り返った彼女達に不敵な笑みを浮かべて、まずは宣戦布告(ごあいさつ)。
「ごきげんよう、みなさま」
「ご、ごきげんよう、瞳子さん」
 ちょっと脅えたように答える彼女達を、ふふんって感じで見返して瞳子は続ける。
「今日はみなさまにお話があって参りましたの」
「お話?」
「ええ、昨日は熱のせいで、みなさまに在らぬ誤解をさせてしまったことお詫び致しますわ」
「誤解って、どういう意味かしら?」
 さすがに押されっぱなしはまずいと思ったのか、奥に座っていた子が立ち上がって問い掛けてくる。
 かかった。瞳子の目がきらリと光る。
「ええ、私、熱があると、本当の気持ちとは逆のことを口走ってしまうことがありますの」
 頬に片手をあて、少し困ったようにそう呟く。女優松平瞳子の真骨頂。
「そ、それって…」
「私も祐巳さまのこと大好きですもの。お申し出を断るはずがありませんわ」
「そ、そん……」
 当然来るものを思っていた反論が来ない。
それどころか、彼女達は瞳子を後ろに目をやって固まってしまっている。
この反応って…。
「瞳子ちゃん…」
 名前を呼ぶ声の主が誰なのか、今更考える必要もない。
どうしてこの方はこんなに間が悪いのか。そう考えて、梅雨時の自分のことを思い出し苦笑する。
『似たもの姉妹〜』
 頭の中でお気に入りの星型マスコットがそんな突っ込みを入れてくれた。
「そうですわね…」
 姉妹ってフレーズにちょっと照れながらもそう呟いて、瞳子は祐巳さまの方へ体全体で振り返り、にっこりと微笑んで、はいと答えた。
「え、えっと……」
 そんな瞳子の様子に祐巳さまの方がちょっと言いよどむ。
だから瞳子は先手を打つことにした。
「祐巳さま」
「は、はい」
「そういうことですから、覚えておいてくださいまし」
 そこで一呼吸おいてから、不敵に微笑んで先を続ける。
「瞳子は必ず祐巳さまの妹になってみせますから」
 あくまで強気に、あくまで不敵に、それでも真剣な眼差しをして、祐巳さまを見つめる。
そんな瞳子の視線を受け止めて、やがて、祐巳さまはにっこりと微笑んだ。
「うん、期待してるね…」

 今日の帰宅は色毎に。
志摩子さまと乃梨子さんは一足お先に、黄薔薇姉妹と可南子さんは戸締りで一歩遅れて。
瞳子は紅薔薇姉妹と一緒に銀杏並木を歩いていく。
 マリア様のお庭が間近に迫ってきたとき、祐巳さまがあっと何かを思い出したように声をあげて、一人でくすくすと思い出し笑いを始めた。
「祐巳?」
「祐巳さま?」
 祥子さまと瞳子の問いかけに祐巳さまは笑いながら答える。
「去年、お姉さまもここで…」
「そう、だったわね…」
 祥子さまは合点がいったように微笑む。
分からないのは瞳子だけ。
「もう、なんですの? 教えて下さいまし」
 ちょっと拗ねたように懇願すると、祥子さまがこほんと一つ咳をして。
「祐巳、覚えていらっしゃい、私、必ずあなたの姉になってみせるから」
 一年前の台詞をなぞるように言って下さった。
「瞳子ちゃんと同じ」
 そう言って無邪気に微笑む祐巳さまは、夕日を浴びてきらきらと輝いて見えた。
「祐巳さま…」
 突然改まった瞳子を祐巳さまは不思議な顔をして見つめ返す。
「どうしたの?」
「ご、ごめんなさい。私、祐巳さまにちゃんとあやまりたくて、それで…ごめんなさい」
 ちょっぴり意地悪してしまったこと、いろいろと暴言を吐いたこと、何よりあの時傷つけてしまったことに対して、素直に、ごめんなさいと。
ずっと言えなくてごめんなさいって。
 祐巳さまは頭を下げた瞳子の頬に両手を添えて自分の方に向かせ、目を合わせるとにっこりと微笑んだ。
そして、人差し指で瞳子の額をぱちんとはじいた。
「な、何を…」
 なすがままだった瞳子は慌てて額を押さえ、涙目になる。
「これでおあいこ」
 えへへと笑って祐巳さまは瞳子から離れ、駆け出した。
「ゆ、祐巳さまー」
 もう、あの方はとため息をつく瞳子の肩に、祥子さまが優しく手をふれる。
「だから言ったでしょう、早く素直におなりなさいと」
「祥子お姉さま…」
 そう言って振り返り、見上げる瞳子の頬に違和感。
それが祥子さまのお茶目ないたずらだと瞳子が気づく前に、祥子さまは風のように祐巳さまの後を追って行った。
「もう、祐巳さまに毒されてしまって」
 瞳子ははぅとため息をつく。
「お姉さま〜、瞳子ちゃ〜ん、早く〜」
 マリア様の前から祐巳さまの呼ぶ声が聞こえる。
「待ってくださいませ」
 祥子お姉さまと祐巳さまと三人でこんな風に帰宅する。
以前も三人で帰宅したことはあったけれど、その時にはなかったもの。
祥子お姉さまも祐巳さまも瞳子も、屈託のない笑顔で笑いあう。
 四ヶ月前、瞳子が望んでいた幸せな光景がそこにあった。

 Fin


 エピローグ
 校門でそんな三人を見つめる影が四つ。
「祐巳さん、嬉しそう」
「瞳子も」
 そう呟くのは現白薔薇姉妹。
その後ろで満足そうにうなづいているのは聖さまと景さま。
そこにあと二つ、影が重なる。
「あ、来た来た」
 手をあげたのは聖さま。
「間に合った?」
「みたいね」
 やってくるなりマリア様のお庭へ目を凝らすのは、蓉子さまと江利子さま。
「昨夜、聖から電話をもらったときはびっくりしたけど、きてよかったわ」
 幸せそうな三人姉妹の様子を間近に見て、蓉子さまが微笑む。
「祥子もこれで一安心ね。あとは黄(うち)だけかぁ」
 ちょっと拗ねた様子の江利子さまだけど。
「そっちは来月のお楽しみでしょう?」
「そうね」
 聖さまに突っ込まれて、江利子さまはふふふと微笑んだ。

「祥子もやっと肩の荷が降りたってところかな」
 駆けていく瞳子の後ろ姿を見つめながら令さまが呟く。
「どう、可南子ちゃん、羨ましくない?」
 由乃は後ろにいる背の高い子に振り返りながらそう問い掛けた。
「そんなことはありませんわ。ただ…」
「ただ?」
「祐巳さまのあんな幸せそうな笑顔、初めて見たような気がします」
 ちょっとため息交じりに可南子がそう呟く。
「ずっと傍で見ていたいと思わない?」
「え?」
「ちょ、ちょっと由乃」
 いち早くその真意に気づいた令さまが由乃を止めようとするけれど。
「あなたが望むならその場所を提供してあげてもいいわよ」
 由乃はにやりと不敵に微笑んで可南子を見上げたのだった。


 あとがき
 ここまで読んでくださってありがとうございました。
前編をアップした後で気が付いたのですが、このお話は「プレデート・ハプニング」「例えばこんな放課後…」の続編になります凹○
これらのお話をご覧になってない方、大変申し訳ありません(._.;)
よろしければ、これを機会に前のお話もご覧になっていただけると嬉しいです。
次からはちゃんと注意書き入れますので、どうぞご容赦下さい。

 それではまた…

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