小夜曲
〜 Note 〜



 つぼみの妹考


瞳子ちゃん
 傍若無人、世話焼き、イケイケ、ルール無用、意外に真面目、意外に繊細、天邪鬼で意地っ張り等々。
いろんな表情を見せる瞳子ちゃんですが、土台は真面目で繊細なんじゃないかと思います。
その目はレイニー前半頃まではまだ祥子お姉さまを見ていたけれど、現在は祐巳ちゃんしか見ていないように思えます。
その祐巳ちゃんへの想いも嫉妬(入学前?)→興味(マリア祭前後)→羨ましい(レイニー〜パラソル「弓子さん談」)→心配・憧れと変わってきています。
 蓉子さま曰く、「姉は手を差し伸べるだけ、選ぶのは妹」に従うなら、瞳子ちゃんが祐巳ちゃんの手以外をとることはないように思われます。
いろいろと憎まれ口を叩きながらも、祐巳ちゃんの行動を規制したりはしませんし、祥子さまと同様、祐巳ちゃんをよく見ており、理解し、支えてくれる子じゃないかなと思います。
 どんでん返しがあるとするならば、その天邪鬼で意地っ張りな性格が災いして、祐巳ちゃんにあてつけるように他の人の手をとるくらいでしょうか。
 由乃さんとの相性はキャラがかぶる点もありますが、真面目な性格から、妹になったら、現在のように子猫のじゃれあいはせず、落ち着いてしまうかもしれません(プッツンしたときはこの限りではありませんが…)。

 雪標的視点
 作者様が最初から祐巳の妹に設定していたキャラだと思います。
パラソルのあとがきで嫌われてるのが意外といったお話をされていることも理由の一つです。


可南子ちゃん
 一匹狼、男嫌い、意外に乙女チック、頑固等々。
皮肉っぽい物言いは、傷つくことから自分を守るための手段。
 多分、お母さんが好きでお母さんを悲しませるお父さんが嫌い。
でもお母さんがお父さんをかばうので、気持ちの持って行き場がないという感じでしょう。
お母さんと祐巳ちゃんが似ているのかもしれませんね。
 風貌や性格面からヒステリーのない、祐巳ちゃんに出会う前の祥子さまを思わせます。
ちょぴり令さまも入ってるかも。
 祥子さま−祐巳ちゃんの例もあり、相性が良さそうに見えますが、逆、つまり、祐巳ちゃんが姉、祥子さまが妹の場合でも成り立つのかというとそうは思えないのです。
 祥子さまの姉はあくまでも蓉子さまであり、祐巳ちゃんではありえない。
そういう意味合いからも、可南子ちゃんの姉は蓉子さんタイプが合っていると思います。
少し性格は違いますが、強引さという点で由乃さんの方が相性がいいかなと。
 微笑んで手を差し伸べる祐巳ちゃんよりは、ほら行くわよと強引に手を引いていく由乃さんの方が、可南子ちゃんの成長のためには必要なんじゃないかなと思うのです。
 由乃さんの面からは、三年生卒業後の山百合会で、性格的に、唯一由乃さんの暴走を止めれる子だと思います。
後は江利子さま視点で、縦ロールだけど由乃さんとキャラが被る瞳子ちゃんよりも、長身と長髪、性格もちょっと異なる可南子ちゃんの方が面白みがあっていいのかなと。

 雪標的視点
 祐巳ちゃん−瞳子ちゃんの仲を進展させるための起爆剤、読者のミスディレクションを誘い、最終的には由乃さんの妹へという一石三鳥の目的で設定されたキャラだと思います(3つ目は後付けかもしれませんが)。


祐巳ちゃん視点
 瞳子ちゃんに関しては、言いたい放題言われても不快に思わなくなっている、むしろ笑ってたりする。
二人っきりで話をすると、漠然とした考えが徐々にまとまっていき、祥子さまにも話していないことを教えちゃったりしている。
 可南子ちゃんに関しては、まだ興味がある段階でしょうか。
二人っきりの話は泣き別れ、賭け事に発展とあまりよい感じではない模様。


由乃さん視点
 瞳子ちゃんに関しては、キャラが被る、結構言い争う場面がありますが、子猫のじゃれあいといった感じでしょうか。
 可南子ちゃんに関しては、まだ未知数。
バラエティギフトでの会話が他の一年生より一言多かったくらいかな。


祥子さま視点
 「涼風さつさつ」で、祐巳ちゃんの妹問題に関しては心配していないとの発言もあり、舞台劇をつぼみの妹問題解消にと考えているなら、構想段階で既に祐巳ちゃんの妹をある程度予感していると思われます。
この時点で可南子ちゃんは登場していませんから、必然的に瞳子ちゃんをと考えているのではないかと。
 下記「紅薔薇のつぼみの不在」でも触れますが、可南子ちゃんは対象外と見ているようです。


令さま視点
 あまり深くは考えていないのではないかと思います。
由乃さんに関しても、祐巳ちゃんに妹できれば、あせって作るんじゃないかってくらいなのでは?
出番もそうですが、表情が読み取れないのがちょっと辛いところです。


「紅薔薇のつぼみの不在」の会話について
 祥子さまと可南子ちゃんの会話ですが、「そんなことはないけれど…」が前提の会話と思われます。
根拠は、二つあります。
一つは、この時点で可南子ちゃんが祐巳の妹にならない宣言を知らないと思われる祥子さまから、「あなたは妹になるつもりはないのでしょう?」発言がでたことです。
つまり…。

「(そんなことはないけれど)私が祐巳さまの妹になっても構いませんか?」
「(そんなことはないけれど)祐巳があなたを選んだのならね。別に反対はしないわよ」
 ……………
「でも、あなたは祐巳の妹にはならないのでしょう?(そんなことはないのでしょう?)」
「ええ(そんなことはありません)」
「ならそれでいいじゃないの」

 これが一番自然な流れのように思えます。
 もう一つは、上の祥子さまの「祐巳があなたを選んだのならね」発言。
普通に肯定するなら「別に…」の一言で済むところに、仮定法が使われています。
仮定法は、口語表現で言葉にはでない心情を表すのに用いられます。
例えば、「できるのならね。やってごらんなさい」
ちょっと不機嫌にこれを言った人はどう思っているでしょう?
とてもできるはずがないと思ってるはずです。
 本人否定、祥子さまもそうなるなんてことは夢にも思ってないし、祐巳ちゃんがそんなことをするとも思っていない(ここには祥子さまの祐巳ちゃんへの信頼感が伺えます)。
もし、これで祐巳ちゃんが祥子さまの信頼を裏切るようなことをしたら、祥子−祐巳姉妹崩壊の危機だと思います。
なので、雪標は可南子ちゃんが祐巳ちゃんの妹になることはないって思いました。
 それでは、このエピソードは何故ここに掲載されたのか?
次回のお話が学園祭なら、舞台劇の構想段階で存在を知られていなかった可南子ちゃんが表立って目立つ展開はほとんどないと思います。
(昨年祐巳ちゃんが目立てたのは薔薇さま方の引き立てあってのものですから…)
話が展開した後で、可南子ちゃんはどうなったの?って疑問への先行解答かなとも思えるのですがさて…。
 逆に、祥子さまとの絆を断ち切ってまで、嫌がる可南子ちゃんを妹にしたいと祐巳に思わせる出来事、そんな展開があるなら見てみたいです。
賭けとか、同情とか、そんなものはなしで…。


その他いろいろ
 7月にスリピッシュ!の新刊がでるそうなので、マリみての次刊はたぶん10月。
第二期のアニメも始まるし、話題は今度こそ学園祭でしょう。
前年度の学園祭→紅薔薇姉妹、翌月→黄薔薇革命の流れからすると、学園祭で祐巳ちゃんの妹決定、11月の剣道大会前後で由乃さんの妹決定って流れじゃないかと思います。

 可南子ちゃんがどちらかの妹になる場合、まだ内容は明らかではありませんが、恐らく父親関係のエピソードは欠かせないでしょう。
学園祭とこのエピソードを絡ませるのは、ちょっと無理がありそうな気がしています。

 いろいろ重要な場面の舞台となった古い温室。
過去、この場所での祐巳ちゃんと瞳子ちゃんの絡みは一度も描かれていません。
偶然か、故意か?
後者なら、姉妹となるクライマックスシーンのために大切に取ってあるような気がするのは私だけでしょうか。


ちょっとこじつけ気味に
 「チャオ、ソレッラ!」で主要登場人物に可南子ちゃんが加わりました。
イラストの配置場所は一年生欄、向かって瞳子ちゃんの右隣
乃梨子ちゃんと瞳子ちゃんの間ではなくて、瞳子ちゃんの右隣です。


おまけ
「なによ、何か文句があるの?」
「ええ、ございますとも。由乃さまは横暴ですわ」
「なんですってぇ?!」
「ねえねえ、由乃さんも瞳子ちゃんも言い争うのはやめようよ」
「祐巳さんは黙ってて!!」
「そうですわ、これは由乃さまと私の問題です。それにいつになったら私のことを『瞳子』と呼んでくださいますの? まったく祐巳さまは」
「瞳子ちゃんだって、私のこと『お姉さま』って呼んでくれないじゃない」
「そ、それとこれとは話が別ですわ」←耳まで真っ赤
「お姉さま、祐巳さまも困ってらっしゃいますし、その辺でおやめになっ……」
「可南子はだまってなさい!!」
「……」←ため息
「みんな楽しそうね」←ニッコリほのぼの
「そうですね、お姉さま…」←志摩子さんしか見ていない

 雪標はこんな展開が見たいです。
由乃さんと瞳子ちゃんが姉妹になって、黄だけでドタバタ、紅白傍観よりも、祐巳ちゃんと瞳子ちゃんが姉妹になって、紅黄ドタバタ、白傍観の方が見てて楽しいと思うのです。


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